「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    支払った金額の返還求める/被害者9人が集団提訴/「給与ファクタリングは違法」

     「給与の前借りが可能」などのうたい文句で労働者を誘い、法外な手数料(事実上の高金利)を取り立てる給与ファクタリング。5月13日には被害者9人が業者に支払った金額の返還を求め、東京地裁に集団提訴した。実態は、困窮する労働者をかもにするヤミ金融と同じだと指摘し、被告の業者が財産を隠匿するのを防ぐため、債権の仮差し押さえ命令も事前に確保したという。

     

    ●実態は貸金業

     

     被告は、「七福神」の名称で労働者を誘っていたZERUTA(東京都新宿区)。

     ファクタリングは売り掛け債権などをやり取りする手法で、給与ファクタリングこの枠組みを労働者の給与にも適用。例えば、月20万円の労働者について、業者がその一部の7万円分を給与債権として買い取り、労働者に5万円を送金する。労働者は給与日に7万円を業者に支払って債権を買い戻す。差額の2万円は手数料だという。

     原告らはこの仕組みを「ヤミ金融と同じだ」と指摘する。ヤミ金から5万円の融資を受けて、金利込みで7万円を返すパターンと違わないためだ。

     業者側は「貸金業ではないので、貸金業法や出資法の規制を受けない」と言い張る。出資法の上限金利(個人間の融資で年109・5%)に関わりなく、高い手数料(金利)を設定しているパターンが多い。

     原告の一人は昨年4月16日に4万9千円の送金を受けて、同25日に7万円を支払った。こうしたやり取りを8回繰り返していた。毎回の手数料(実質金利)は300%前後になる。

     裁判は、業者に支払った手数料込みの金額の返還を求めるもので、9人の請求合計は約436万円。

     

    〈解説〉3月判決でも違法認定

     

     給与ファクタリングについては金融庁が「貸金業法で定める『貸金業』に該当する」との見解を示し、警告を発している。

     今年3月24日に出された東京地裁の判決でも、給与ファクタリングの仕組みを「貸金業法や出資法にいう貸し付けにあたる」との判断を示した。業者側が「金を返せ」と労働者を訴えた裁判だったが、判決は取り引き自体を「貸金業法などに違反し無効」と断じた。 つまり、業者側の言い分にかかわらず、行政と裁判所は給与ファクタリングを違法としている。今回の裁判は、そうした流れを踏まえて、被害者の損害回復を目指したのが特徴だ。

     新型コロナウイルス感染の拡大と、政府による不十分な補償によって、働く者の困窮が進んでいる。被害者を増やさないため、裁判が違法な業態の根絶に寄与することを期待したい。