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    安全軽視で学校の再開主張/トランプ米大統領/教組・小児科医が批判声明

     新型コロナウイルスの感染者が400万人を超えて広がる米国で、トランプ大統領が新学期(9月)からの学校再開を強く主張している。教職員組合や小児科医の団体などは「政治的な思惑で再開を決めるのではなく、子どもたちの安全確保を第一に考えるべき」と批判している。

     トランプ大統領は7月8日、ツイッターで「感染拡大による影響は限定的」と主張し、疾病対策センター(CDC)による学校再開に向けたガイドラインを「厳しすぎる」と書き込んだ。11月の大統領選挙を控え、平穏な日常が戻ったことをアピールするのが狙いとみられている。

     

    ●科学的知見の重視を

     

     教職員組合のAFTやNEA、小児科医の団体AAPなどは共同声明を発表し、再開に当たっては安全性の確保を第一に考えることが必要と力説した。学校の再開自体は、子どもたちの学びにとって必要としつつも、危険を冒してまで強行すべきではないとの立場だ。

     声明は「学校を安全な状態で再開するには、(大統領発言にみられるような)政治的思惑ではなく、科学的知見に基づくべきだ」とくぎを刺した。感染率の高い地域での再開を見送ることも訴えた。

     その上で、生徒と教職員の安全確保には十分な予算措置が必要とし、連邦議会とトランプ政権に対して、予算拡充を要請した。

     組合は学校再開への道筋として(1)新規感染者数が減少するまでは人との距離を取ること(2)検査と感染経路の追跡・隔離の徹底(3)防護具の確保――などを求めている。