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    日本のプルトニウム保有を批判/原水禁がシンポ/長崎原爆5700発に相当

     原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は8月6日、「核兵器廃絶と日本のプルトニウム」をテーマに国際シンポジウムをオンラインで開いた。原水禁の藤本泰成副議長は、日本のプルトニウム保有が核保有につながると世界から懸念されていることを訴えた。発言(要旨)を紹介する。

     

    ●一人一人の命の問題

     

     核兵器廃絶を主張しながら、米国の核抑止力を自国の安全保障の根幹に据える日本政府の姿勢は核兵器の存在を肯定するものであり、ダブルスタンダードとの批判は免れない。

     中国の軍縮大使は2015年、「日本が国内に保有するプルトニウムは核弾頭千発以上に相当し、安全保障と核拡散の観点から深刻なリスクを生んでいる。日本の使用済み核燃料の再処理工場計画は世界を安心させるのではなく、事態を悪化させる行動だ」と発言した。

     核保有国からの批判に反発する声も聞かれるが、核兵器の原料となるプルトニウムを国内外に46トンも保有する日本のあり方を真摯(しんし)に省みる必要があるのではないか。46トンのプルトニウムは、長崎型原爆に換算すると約5700発である。使用目的が明確でないプルトニウムの保有が核兵器保有への道だとする世界の懸念を生み出すなら、それは日本の国益にはならない。被爆者の思いにかなった政策でもない。

     私たちは一人一人の命を大切にする政治と社会を求めて運動を展開してきた。プルトニウム利用の政策、核燃料サイクル計画の問題は命の問題だ。今の政治には日本の将来を見据えて大きな決断を下す勇気が必要だ。今後も原水禁は日本のプルトニウム問題に声を上げていく。