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    地域手当の見直しを検討/国公労連/公務職場の格差是正訴え

     国公労連は現在、都市部と地方の間で最大20%の開きがある地域手当について、見直しの検討を進めている。政府が「働き方改革」で同一労働同一賃金を目指したにもかかわらず、足下の職場に大きな格差があるのはおかしいと指摘。機運が高まる最低賃金の全国一律制の動きもにらみながら、公務職場の格差を是正したい考えだ。来春までの職場討議を経て、人事院に要求する構えである。

     

    ●地方から原資を移行

     

     地域手当は、2005年の給与構造改革で導入された。それ以前には、物価などを考慮した調整手当(最高10%)があったが、これを衣替えし、最高額を18%に引き上げた。14年の給与制度見直しで最高額を20%にして今日に至る。

     2度の改革では、全体の賃金水準を下げた上で、その原資で都市部の手当を引き上げた。結果として、地方に勤務する職員から都市部へ賃金原資を移行させたことになる。人事院は民間賃金の動向を理由に挙げていた。要は、大企業の多い都市部の賃金を高く、少ない地方を低くする政策だったのである。

     

    ●人事異動に弊害も

     

     国公労連は「国家公務員には、同じ職務には同じ賃金という職務給原則が適用されている。地域手当はこの原則に反する」と述べ、見直しの必要性を訴える。 国家公務員には全国異動を伴う職種も多く、異動に際して最近は弊害が目立ってきたという。「本人希望を取ると、都市部に行きたい職員が増え、地方に行きたがらない傾向が強まっている」(笠松鉄平書記次長)。地域手当は市区町村単位のため、隣接する自治体間で大きな格差が生じるという問題もある。

     笠松次長は「地方の出先機関などでは、50歳代の比較的高齢層が仕事の中軸になっている。その年齢層がこの間の給与制度改革で賃下げになっており、モチベーションが保てない。『(改革前の)元に戻してほしい』との要望が強い」と話している。

     東京や神奈川の中でも、地域手当がつかないところがある。そこでは、高卒初任給が最低賃金を下回る現象が既に起きており、人材確保の観点からも放置できないと指摘される。

     

    ●どう是正するかが課題

     

     国公労連は、地域手当見直しに当たってA案とB案を提示している。

     A案は現行手当を縮小して、その原資を再配分するもの。B案は現行水準を維持しつつ、毎年一定程度の原資を確保して非支給地域や低支給地域の手当を引き上げる方法だ。

     A案は、都市部の手当を削減することになるため、都市部に勤務する組合員の賛同を得にくいとされる。B案は、底上げに必要な原資をどう確保するかという課題がある。国公労連は「大企業優遇への不公平税制を是正して財源を捻出することが考えられるが、10年程度の長期的なスパンで対応する必要がある」という。

     地域手当は、国家公務員の職場だけでなく、自治体職場にも制度がある。見直しの影響を含め、納得できる方法に向けた慎重な論議が求められている。