「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    労働条件変更として対処を/連合/テレワークで対応方針

     新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークを行う企業が増える中、連合は9月25日、対応方針をまとめた。社内の合意形成のあり方や経費負担、労働時間管理、長時間労働対策などを示している。緊急対応でなし崩し的に行っている企業も多いとみられるため、労働組合としてきちんとした環境整備を呼び掛けている。

     方針はテレワークが「勤務場所の変更」という労働条件変更に当たると指摘。目的、対象者、手続き、労働条件について労使で話し合い、労働協約を結んだうえで、就業規則に定めるべきとの見解を示した。特に非正規労働者を除外するなどの差別的な扱いを行わないよう注意を促している。

     興味深いのは、テレワークで発生する費用を示し、その負担について労使協議を呼び掛けたこと(表)。パソコンなどの環境整備については上限を示したうえで使用者負担とし、水光熱費や通話料などの必要経費についても、業務負担分として一定額を負担することを提起している。

     紛争の起こりやすい労働時間管理では、ネットワーク上の出退勤管理システム、メールなどによる報告、パソコン端末の使用時間で確認する方法を提示。フレックスタイムの活用や中抜け時間への対応についても注意点を記した。

     長時間労働防止の課題では、高度プロフェッショナル制の「拙速な導入は厳に慎むべき」とした。具体的な対策としては「使用者、従業員ともに時間外、休日、深夜のメール送付の原則禁止」や、深夜・休日の社内システムへの接続制限、勤務間インターバルの確保などを挙げている。

     

    ●「ジョブ型」は慎重に

     

     テレワークの普及を機に、職務ごとに人を配置する「ジョブ型」就労を促す動きもある。神津里季生会長は「同床異夢の面がある。全否定するつもりはない。上司が部下と目的意識を共有し、どういう仕事をするのかを明確に指示しているのか、改めて光を当てるならいい。一方で、悪乗りして給与を上げないために使うことも懸念される。危険性を認識しながら、あるべき姿を示していきたい」と述べている。