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    「民の声が社会を変える」/核兵器廃絶シンポ/通販大手創業者の髙田明さん

     核兵器廃絶日本NGO連絡会が9月26日に開いたシンポジウムで、通信販売大手「ジェパネットたかた」の創業者である髙田明さんは、人々の社会に対する見方がコロナ禍で変わる中、核兵器のない世界をつくるために何が必要か、企業人の立場から発言した。要旨を紹介する。(文責・編集部)

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     国連で核不拡散条約(NPT、1970年発効)、包括的核実験禁止条約(CTBT、96年採択、未発効)、核兵器禁止条約(17年採択、未発効)が結ばれてきた。核兵器禁止条約は現在、発効に必要な50カ国中46カ国が批准している。

     一方で、ナショナリズムが台頭し平和を築く方向ではなくなっている。これで核兵器がなくなるのかと悩み続けている。

     コロナ禍で、世の中の見え方が180度変わったのではないか?

     新型コロナウイルスの影響だけではなく、台風や水害など自然災害が大型化し毎年のように起きている。今までの対策では防ぎようのない世界に入った気がする。

     僕はコロナ禍で考え方が随分、プラスされた。今までは幸せを求めて経済も成長成長、無駄をなくし、効率化を求めてきたが、果たしてそれが正しい人間の生き方なのか。

     例えば、改革によって保健所が統廃合された結果、大変な状況になった。病院では効率化を求めたことにより、必要なベッド数が足りず、対応できない事態に陥った。今一度、人間は何のために生きているのかを考え直す必要がある。

     

    ●伝える、伝わる努力を

     

     (戦後)75年間続けてきた、世界中の人々の活動を、そのまま大事にしながら、本当に核兵器をなくすために根本的に何が変わらなければいけないのか。各国(政府)や国連も含めて、「何がネックになっているのか」を考える時期にきているのではないか。

     思い切って発信の方法を変えてみる、もっと「広報」に力を入れるのはどうか。「やっていますよ。伝えました」だけではなくて、「それが本当に伝わったのか、どれだけの人に伝わったのか」という結果にこだわることを強く訴えたい。世界を巻き込み、政治の世界を変え、トップの考え方を変えることが大事ではないか。権力者が一番恐れているのは民の声だ。国民の声には社会を変える力がある。だから政治に関心を持ち、政治を変えていかなければいけない。

     

    ●指導者の半分を女性に

     

     今、よく言われるように女性の地位が低い。新内閣が誕生したが大臣の中に女性が少ない。僕は世界の指導者の半分が女性になれば、核兵器廃絶は実現できるのではないかと考えている。女性がもっと政治でもなんでも参加して、対等に語る世界がくれば……。

     僕は(通信販売で)多くの商品を視聴者に伝える仕事をしてきた人間として言いたい。活動には三つの〃ション〃が欠かせない。何のために生き、議論するのかというミッション、伝えるために強い情熱をもって語るパッション、いくら語っても行動なくして変化は起こせない、アクションだ。核兵器廃絶の問題も同じだと思う。