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    「発効見据えて活動始めよう」/ピースボートの川崎哲共同代表/核兵器禁止条約が国際法に

     核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員である川崎哲共同代表はこのほど、「核兵器禁止条約発効後を見据えて、今から運動を準備しアクションを起こしていこう」と呼びかけた。国際NGOとして核兵器廃絶に取り組むピースボートの学習会での発言。同氏は共同代表を務める。

     核兵器禁止条約は10月9日現在、46カ国が批准し、発効に必要な50カ国まであと4カ国と迫っている。報道や川崎氏によれば、10月中に達成する見通し。90日を経て早ければ来年初めにも、効力を持つ国際条約となる。

     条約発効から1年以内に第1回締約国(批准国)会議が開かれる。

     

    ●発効で世界が変化

     

     川崎氏は同条約が効力を持つ国際法となれば、非締約国(批准していない国)を含め世界は大きく変わっていくと話した。

     兵器に関する国際法は、大量破壊兵器を禁止する生物兵器禁止条約(75年発効)と化学兵器禁止条約(97年発効)、非人道的兵器を禁止する対人地雷禁止条約(99年発効)とクラスター弾禁止条約(10年発効)などがある。その流れが核兵器禁止条約へつながっているという。

     対人地雷禁止条約やクラスター弾禁止条約の発効後、非締約国であっても、ほとんどが生産を終了し、中には、生産を禁止する法令を作った国もある。

     川崎氏は「(効力を持つ条約となれば)世界の規範が強化されて、事実上、非締約国にも大きな影響を及ぼすことが歴史を見ても分かる。『(核兵器はない方が良いが保有は仕方ないという)古い慣習が新しい条約によって否定され、核兵器廃絶への歴史が始まる」と語った。

     

    ●せめてオブ参加を

     

     川崎氏は、条約発効後の第1回締約国会議に向けて、今から運動を準備しようと呼びかけた。

     一例として、世界に核兵器の非人道性を訴える被爆者の声を届ける取り組みの強化を挙げた。日本政府に対しては核兵器禁止条約の批准を迫りながら、少なくとも締約国会議にオブザーバーとして参加するよう迫る。そのためにも国会で同条約批准に向けた議論をしてほしいと訴えた。

     「日本政府にも締約国会議の招待状が届くはずだ。核兵器廃絶へ向けて『橋渡しをする』と言うのであれば参加は必須だ」

     

    ●多国間の軍縮枠組みを

     

     川崎氏は同条約の意義について、多国間の軍縮の枠組みを強化して軍拡競争を防ぎ、地域の安全保障を守ることにつながると指摘し、こう述べた。

     「『北朝鮮や中国の軍備拡大が怖い』として敵基地攻撃能力保持を主張し、米国とともに軍備強化すれば、結局は核軍拡につながってしまう。多国間で国際的な安全保障(体制)をつくることが必要。理想主義ではなく、現実問題としての必要性を市民として発信することが大事だ」

     

    〈写真〉学習会で話すピースボートの川崎共同代表(9月21日、オンライン)