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    格差是正で人間らしい社会を/国民春闘共闘総会/21春闘方針の構想案を提起

     全労連や純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会は10月22日、都内で総会を開き、21春闘の方針(構想案)を提起した。コロナ禍でこそ、賃金引き上げが必要と強調。利潤追求の社会から、8時間労働や医療福祉の充実などで誰もが人間らしく暮らせる「公正な新しい社会」への転換を目指す。非正規雇用の格差是正を従来より重視することにしている。

     賃金要求では、大幅賃上げと併せ、非正規・女性労働者の賃金改善に向け格差是正を第一に据える。パートタイム・有期雇用労働法が来年4月から中小企業にも適用されることを踏まえ、手当などの労働条件でも均等待遇を目指す。全国一律最低賃金の取り組みや、公契約条例の制定、公務員の賃金改善を進める「社会的な賃金闘争」を強化する。

     構想案は、格差是正や安定雇用など「四つのつくる」行動と「三つの戦略」を提起した。具体的には、最賃アクションや、安全・安心の医療・介護実現を目指す「いのち署名」、非正規労働者ら当事者が声を上げる「格差の見える化」、対話を重視した組織拡大での「労働組合の見える化」に取り組む。

     黒澤幸一事務局長は、賃上げにはスト実施率や組織率が大きく影響していると指摘した。「組合が大きくなれば、賃上げや改善を図れる。今春闘は、コロナ禍だから仕方ない、あなただけではないという、諦めとの闘いだ。この閉塞(へいそく)感を打ち破らなければならない」と語気を強めた。

     小畑雅子代表幹事(全労連議長)は、有期契約労働者の格差是正を訴えた労働契約法20条裁判について「(賞与や一時金で格差が認められなかった)大阪医科大事件、メトロコマース事件の最高裁判決は許しがたく、怒りを抑えられない。雇用の調整弁として非正規を増やしたい財界の思惑に沿って、差別を固定化するものだ」と批判し、格差是正と均等待遇の闘いを呼び掛けた。

     

    ●二宮厚美氏が講演

     

     記念学習会では二宮厚美神戸大学名誉教授が講演。利潤追求や市場原理主義で公共サービスをないがしろにする新自由主義の破綻がコロナ禍で明らかになったと指摘。労働権など基本的人権を軸に憲法を生かした福祉国家への転換を訴えた。

     

    〈写真〉総会は「賃上げで経済の好循環実現を」とアピールした(10月22日、都内)