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    〈建設アスベスト被害救済を!〉横浜市で全会一致採択/建設労組が請願/基金制度創設求める意見書

     375万都市、横浜市で「国とアスベスト建材メーカーによる『建設アスベスト被害者救済基金』の創設」などを求める意見書が9月、同市議会で採択された。請願したのは、神奈川県建設労働組合連合会(神建連)傘下の横浜市建設労働組合連合会(横浜市連)。建設労組が請願した意見書を全会一致で採択するのはほとんど前例がないという。

     

    ●自民党市議に要請

     

     横浜市連の中心単組、横浜建設一般労働組合(建設横浜)は、市議会多数派の自民党議員に意見書の請願の紹介議員になってもらおうと7月、横浜市金沢区選出の黒川勝市議を訪ねた。

     要請を受けた黒川市議は「自民党として中途半端なことはできないと考え、すぐに市議団会議にかけた」と話した。その際に役立ったのは、自民党国会議員でつくる「建設技能者を支援する議員連盟」の名簿と決議だったという。菅義偉首相や岸田文雄衆院議員、横浜選出の松本純衆院議員らが名を連ねている。市議団は意見書に「建設アスベスト基金創設」だけではなく、賃金・労務単価引き上げなど建設全体の課題も盛り込んだ。(表)

     

    ●市議が説得に回る

     

     黒川市議は「全会派が紹介議員となり、市議会で全会一致での意見書採択になるようこだわった」。黒川氏が自ら「立憲・国民フォーラム」や公明党、共産党の全会派、無所属議員に請願内容を説明し、賛同を求めた。結果として、全会派と2人の無所属議員が紹介議員となった。

     「全会一致とは横浜市民の総意ということ。自民党議員は市議会の4割を占めるが、議会は自民党だけではなく『チーム議会』となって力を発揮する」

     

    ●「建設業守れ」で共闘

     

     意見書採択には、地域の地場ゼネコン社長らでつくる横浜建設業協会(横建協、山谷朋彦会長)の後ろ支えもあったと、建設横浜の吉良比呂志書記(前神建連書記長)は話す。

     横建協と建設横浜は、過去に建設産業政策をめぐってタッグを組んだ経緯があった。中田宏横浜市長時代(2002~09年)、「横浜改革」の名のもとに建設横浜が運営する職業訓練校の助成金が削減対象となった。一方、市の公共工事についても地元業者では大手ゼネコンなどに太刀打ちできないような低価格競争を強い、横建協は業界団体として異例の入札制度改善を要求した。

     このような中、両団体は共同で市長交渉を行った歴史がある。今でも横建協は毎年、労組が運営する職業訓練校へ財政支援するなど良好な関係が続いている。

     

    ●司法判断を注視

     

     自民党市議団は8年前、「建設アスベスト訴訟の早期解決を求める」意見書の請願があった時に賛成しなかった経緯がある。当時は同年5月に建設アスベスト訴訟として初めての判決(神奈川1陣横浜地裁)が出されたが、原告の全面敗訴だった。黒川市議は「当時は不採択としたが、その後の司法判断が変わってきた」と述べ、裁判所の判断が大きく影響していると明かした。訴訟は現在、国が14連敗、建材メーカーも5連敗している。

     今回の自民党市議団の意見書賛同は、各地で建設アスベスト訴訟を起こし、国や建材メーカーの責任を認めさせてきた原告、弁護団、支援組合の運動の成果といえる。