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    年末一時金が昨年比17万円減/春闘共闘の回答集計/「コロナ禍のしわ寄せ許さない」

     全労連や純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会は11月10日、年末一時金の第1回集計結果を発表した。新型コロナ感染拡大の影響を受け、単純平均で約51万8千円(1・82カ月)。昨年同期を約17万円下回った。黒澤幸一事務局長は「過去最低の水準だ。(年末一時金を削減し)労働者へのしわ寄せでコロナ禍での経済混乱を打開しようとするのは誤りだ」と指摘した。

     春闘共闘は今後も引き上げを求めるとともに、政府が雇用調整助成金の特例措置延長など中小企業支援策の充実を早急に行うよう訴えた。

    ●支援金届かず20万円減

     

     今年の第1回集計(正規雇用労働者)には、回答を得た118組合が報告を寄せた。

     日本医労連の森田進書記長は「国の1次、2次補正予算で組まれた、医療・介護事業所などへの緊急包括支援交付金(約3兆円)は、10分の1の3千億円しか医療機関に届いていない」と指摘した。

     新型コロナ対応の重点病院でも交付金が県段階で止まっていて、経営側から「手元に(支払えるほどの)現金がない」と言われ、平均20万円を超える引き下げ額を提示されたところもあるという。

     医労連の独自集計によると、昨年実績(最終)を下回ったのは53組合で全体の4割。森田書記長は「公立・公的病院などは自治体の人事委員会勧告に準じる。今後の回答を含めると、昨年を下回る組合が8割近くになるのではないか」と危機感を表した。

     日本金属製造情報通信労働組合(JMITU)の三木陵一委員長は「中小企業で働く労働者はコロナ禍で月収が激減している。『(掛け持ちで)アルバイトをしないと生活できない』という人もいる。企業活動の活性化に向けて労使が協力しなければいけない時。ストライキを含めて交渉していく」と語った。

     現在、JMITUの84支部分会の単純平均で58万3643円。多くが昨年同期を大きく下回っているという。