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    ジェンダー平等の視点を強調/JAL争議10年/不当解雇の早期解決求める

     JAL(日本航空)不当解雇撤回争議団と国民支援共闘会議は整理解雇通告から10年となる12月9日、闘争の経緯と現状を含め、「ジェンダー平等の運動とJALの解雇」について会見し、早期解決を求めた。

     JAL争議団がジェンダー平等と争議を絡めて会見するのは初めて。女性の働く権利拡大の闘いは、1970年代から30歳若年退職制や結婚退職、妊娠退職などの撤廃運動を展開し、数々の成果を上げてきた。

     乗務員の非正規化となるアルバイトや契約制の導入も「空の安全」を訴えて反対し、16年には22年越しの全員の正社員化をついに実現させた。

     客室乗務員争議団の内田妙子団長は「正社員化の運動成果はコロナ禍でも雇用を守ることにつながっている」と指摘。「ジェンダー平等を先駆けて実現させてきた女性たちが解雇された。結果的に物言う女性の封じ込めだ」と批判し、不当解雇の早期解決を迫った。

     パイロット争議団の山口宏弥団長も「空の安全のために物言う組合役員が多数解雇された。違法解雇の撤回を」と強調。女性争議団員らも「必死に仕事と子育ての両立をしてきたのに解雇され、許せない」と訴えた。

     JALは10年12月末、165人の整理解雇を強行。最高裁は解雇の是非を問う裁判では原告敗訴としたが、行政訴訟の上告審で違憲違法の不当労働行為と判断した。国会では自民を含む超党派議員が解決に動き、国際労働機関(ILO)も解決交渉を勧告している。

     JALはコロナ禍でも「雇用は守る」と明言。会社と政府は違憲解雇の解決が迫られている。(鹿田勝一)