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    絶対額重視し、6千円基準/JAMの21春闘方針大網

     中堅中小の金属製造業労組でつくるJAMは12月7日、春闘討論集会をオンラインで開催した。春闘方針大網では、あるべき賃金水準との差を確認しつつ、定期昇給相当分を確保したうえで、昨年同様に6千円を基準とする「人への投資」を要求する考え方を示した。

     方針大綱は、組合員30万人を超える賃金データを裏付けとして、一人前ミニマム基準(30歳・24万円など)、到達基準(同・27万円など)、目標基準(同・29万円など)を今年も設定している。単組ごとに目標とする水準を定め、そこへの到達を目指す。上げ幅だけでなく賃金の絶対額を重視することで格差是正を追求する取り組みだ。

     賃金制度がなく、賃金実態を把握できていない組合については、定昇など賃金構造維持分4500円に6千円を加えた「1万500円以上」を要求基準として提案した。

     討論では、取り巻く環境の厳しさを訴える意見や、トヨタ労組が21春闘でベア要求しないと報道されたことの影響を懸念する発言などがあった。

     安河内賢弘会長は「トヨタの賃金はフォルクスワーゲンに負けている。世界のトップを争うトヨタにはより高みを目指してほしいところだが、昨年もベアゼロだった。グループ企業の底上げがトヨタの春闘。(相場形成への影響は)あまり気にしなくていい」と指摘。

     「失われた30年を振り返れば、雇用を守るために賃上げを我慢し非正規も入れた。しかし雇用は守れなかった。ここで賃上げをしなければ日本は没落してしまう。賃金を上げ雇用を守るよう職場労使でしっかり結果を出そう」とまとめた。

     

    〈写真〉JAMは21春闘で「雇用も賃金も」という強いメッセージを打ち出す(12月7日)