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    衆院で16年ぶり請願採択/全労働/第一線職場の「体制整備」要求

     労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)などの職員でつくる全労働省労働組合(全労働)が「労働行政第一線の体制整備」を求めた国会請願が12月4日、衆参両院の厚生労働委員会で採択された。与党の自民・公明両党のほか、日本維新の会の議員を含めた全会一致。参院では5年ぶり、衆院では16年ぶりだ。全労働は「コロナ禍の下、労働行政拡充の必要性・重要性が広く認識された結果」と指摘している。

     職場は、働き方改革関連法の施行に伴い、労働時間の上限規制や、非正規労働者の待遇改善に関わる業務が増加。加えて、コロナ禍で雇用調整助成金など雇用を維持する施策の迅速な処理が求められる中、職員の激務が続いている。

     一方、第一線職場では毎年、定員削減が行われ、今年4月にも117人が減らされて困難を強いられているという。

     請願は、こうした脆弱(ぜいじゃく)な労働行政体制の拡充を求めた。かつてない43人の紹介議員を得て、約3万5千筆の署名を提出した。

     鎌田一委員長は「全会一致の審査は極めてハードルが高く、近年は(国家公務員の)総人件費抑制を掲げる政党が増え、採択できないことが続いていた」と語る。そんな中での今回の採択の意義は大きいという。

     請願が採択されると、内閣は毎年、請願の内容をどう扱ったかについて両院に報告しなければならない。強制力はないものの、体制拡充に向けた圧力の一つになる、とみられている。

     

    〈資料〉請願採択を受けて全労働本部が発行した機関紙号外