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    出来高単価アップに強い思い/JILPTがシンポ/アニメーターの働き方考える

     労働政策研究・研修機構(JILPT)は12月14、15日の両日、オンラインで「アニメーターの職場から考えるフリーランサーの働き方」と題するシンポジウムを開催した。アニメ業界の多くがフリーランスとして働き、出来高払いだという。その低すぎる単価について議論が交わされた。

     

    ●版権収入反映させたい

     

     亜細亜堂労働組合の船越英之委員長は、フリーランスには最低賃金法が適用されないとしつつ、一つの指標として、動画単価と地域別最低賃金額を比較した。動画単価は1カット(枚)200円台が多く、35年前と変わらないという。東京都の最賃額1013円で換算すると1カ月当たり689枚作成しなければ最賃水準に達しない。経験上、新人が描けるのは約300枚だとして「単価改善は個別の企業や労働組合では限界がある」と産業全体での取り組みを訴えた。

     東映動画労働組合の沼子哲也副委員長は「労組として社員型の賃金体系を求めてきたが、出来高単価を引き上げる運動も考えたい。版権収入を単価に反映させていきたい」と語った。

     松永伸太朗長野大学助教は「単価が業界の慣行で固まっている。労働条件改善には職種別や産別労組などの横の連帯が重要ではないか」と述べた。

     日本アニメーター・演出協会監事の桶田大介弁護士は「単価アップへの思いは同じ。この2、3年は動きが激しく二極化している」と話した。