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    時の問題/定員は増加に転じたけれど/21年度の国家公務員定数

     2021年度の国家公務員の定員が昨年末に確定しました。増員と減員を差し引きした結果、399人のプラスとなり、減り続けていた定員が増加に転じたのが大きな特徴。新型コロナウイルス感染の拡大や自然災害に対応する人員の必要性を政府も認めざるをえなくなったためです。国民の命や財産を守るため、従来の定員削減方針の抜本的な見直しが求められます。

     国家公務員の定員は約30万人。21年度は増員が7589人、減員が7190人、差し引き399人の増加となりました。

     新型コロナ関係では、国立感染症研究所が716人へ倍増。検疫所も177人増員されます。コロナ禍の下で拡充した雇用調整助成金などの業務や、働き方改革の関連業務に対応して、労働行政の定員は今年度の117人減から10人減へと、減員幅を縮小しています。国土交通省関係では、相次ぐ自然災害の状況などを勘案して地方整備局が101人のプラスです。

     

    ●まだまだ不十分

     

     プラス基調とはいえ、399人増の水準では国民にとって必要な業務を行う上で焼け石に水。増員の一方で、農林水産省(348人減)など、マイナスの省庁も少なくありません。

     国公労連の九後健治委員長は「人員を増やさざるを得なくなったのは、この間の定員削減政策の破綻がはっきりしたということ」と指摘。「コロナ関係での増員は当然としても、国民の生活に密接な部門の人員は十分とはいえない」と問題視しています。