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    無給医問題の解決を急げ/医師ユニオンなどが要請/厚労省の後ろ向き姿勢ただす

     給与が支払われないか、払われてもごくわずかという、大学病院の無給医問題。勤務医でつくる全国医師ユニオンなどは1月15日、労働法を適用して解決を図るよう厚生労働省に要請した。焦点の「労働者性」について、同ユニオンの植山直人代表は要請後の会見で「過去の最高裁判決は病院の指揮監督下で働けば、労働者に当たると判断している。早急に解決すべきだ」と話した。

     大学病院では、医師資格を持つ大学院生や研修医を「研究・研さん」の名目で診療に当たらせている。わずかな給与しか支払わず、労働時間の規制もない。文部科学省の調査によれば、全国に2800人以上いることが分かっている。

     医師ユニオンと日本労働弁護団は15日の要請で(1)労働基準法上の労働者に当たることを労働基準局長名で通知する(2)無給医からの申告を受け止め、必要な行政指導を行う(3)政府の「医師の働き方改革推進検討会」の議題とし、適切な労働者保護策を検討する――ことなどを求めた。

     会見で市橋耕太弁護士は「厚労省側は労働者性の判断に当たって『統一的な基準を示すのは困難』などと回答したが、納得できない」と批判した。労働基準監督署に救済を求めて申告したものの、2年間放置されているケースがあることについても、明確な説明がなかったという。

     その上で「病院の指揮監督下で働いている。一般的な労働者性の判断基準を適用すれば、労働者性があるのは明らか。悩む必要はない。最高裁判決もある」と指摘。無給医の労働者性を認めることについてためらう厚労省の姿勢を問題視した。

     

    〈写真〉会見に臨む医師ユニオンの植山代表(右)ら(1月15日、都内)