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    金属大手の前に集中回答/春闘共闘が方針/「仕方ない」を変える春闘に

     全労連や純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会は1月14日、単産・地方代表者会議を都内(オンライン併用)で開き、コロナ禍の下でも大幅賃上げを求める21国民春闘方針を決定した。全労連結成後の春闘共闘では、初めて集中回答日を金属大手や連合より一週間早く設定した。

     方針は昨年同様、月2万5千円以上、時間額150円以上、全国一律1500円の最低賃金を求める。大幅賃上げと併せて、均等待遇、改憲阻止などの課題も確認した。2月7日には、新型コロナの影響で生活に困窮する人たちに防衛費などの予算を回すよう全国一斉に求める「生活保障に税金まわせ!ローカルビッグアクション」を計画している。

     小畑雅子代表幹事(全労連議長)は、新型コロナ感染拡大下の春闘になることについて「オンラインやSNSの活用、感染予防対策をしての職場訪問など『集まる・語り合う・仲間を増やす』ことを諦めない。コロナ禍だから『仕方がない』を皆で変える春闘に」と呼びかけた。

     

    ●企業内主義への批判

     

     今年は集中回答日を金属大手や連合より1週間早い3月10日とした。翌日にはストライキを含む統一行動を展開する。

     春闘共闘は例年、集中回答日を金属大手に合わせてきたが、今回初めて先行させる。黒澤幸一事務局長は、その理由について(1)先行して回答を示すことで、(トヨタ労組がベースアップ回答を隠すなど)大企業労組で起きている企業内主義的な動きを打開し、社会全体に相場を波及させる(2)第3週の設定では次の交渉が日程的に厳しい(3)ストライキを配置し、翌日の全国統一行動を組むことで回答を引き出し、前進を図る――を挙げた。

     JMITUの川口英晴副委員長は「今回初めて春闘共闘とJMITUの回答日が同じ日になった。地域との共同行動も考えていきたい」と歓迎した。同労組は前身の全国金属の時代から約50年来、金属大手より1週間早い回答日を設定して取り組んでいる。

     

    ●労働組合の姿見せる

     

     討論では、埼労連が「緊急事態宣言が発令される中、『(地域行動などを)やっていいのか?』という意見が出ている。『こういう時だからこそ労働組合の姿を見せることが必要だ』という議長の訴えを発信した。昨春闘は手探り状態だったが、今年は感染防止対策を取りながら春闘スタート宣伝を約30カ所で行った」と報告した。

     自交総連は新型コロナの影響で苦境に立たされるタクシー業界の状況を訴えた。「組合員の月収は10万円未満が6割という実態だ。労組加盟が相次ぎ、例年の2~3倍近くに上る。闘わなければ、コロナ禍の犠牲が労働者を直撃してしまう」。

     京都総評や福岡県労連などからは最低賃金引き上げなど、地域の経営者団体などとの共同、共闘の取り組みが語られた。

     

    〈写真〉主催者あいさつをする小畑代表幹事(1月14日、都内)