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    大幅増員へ取り組みを強化/全労働が方針/「コロナにも対応できる体制を」

     労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)などの職員でつくる全労働省労働組合(全労働)は、コロナ禍の下で雇用維持施策をはじめとする労働行政を十分に機能させるため、体制拡充の取り組みを強化する。その一つとして、毎年年末に向けて行っている国会請願署名を、政府の概算要求(8月)に間に合うよう早めて、今通常国会(~6月16日)での採択を目指す考えだ。

     概算要求期を重視するのは、各省庁の人員要求枠にシーリング(上限枠)が設けられているためで、この上限枠を突破することが必要と判断している。

     

    ●21年度はほぼ満額査定

     

     昨年末に確定した2021年度の人員体制は、前年度比で10人減。3桁のマイナスが続いていた流れが大きく変わり、任期に定めのある時限付き定員を除けば、ほぼ満額査定となった。

     全労働は、コロナ禍の中で雇用調整助成金の特例や新たな休業支援金・給付金、新型コロナウイルス感染に関わる労災認定の拡充などにふさわしい人員の必要性が明らかになったことが大きいと見ている。請願署名の紹介議員も、かつてない43人に達し、両院で16年ぶりに採択され、満額査定を後押ししたと見られる。

     2月5、6の両日、オンラインで開いた全労働中央委員会では、こうした成果を確認するとともに、22年度に向けた体制拡充の取り組み強化を決めた。

     

    ●労働行政は安全網

     

     鎌田一委員長は「21年度はほぼ満額査定になったとはいえ、増員はわずかで不十分。職場は長年の定員削減で疲弊している。コロナ禍の今こそ、社会のセーフティーネットである労働行政の拡充が求められる。22年度の大幅増員を目指し、概算要求期から取り組もう」と呼び掛けた。

     署名は「現下の雇用情勢をふまえた労働行政体制の整備をめざす請願署名」。組合員1人5筆を目標とし、組織外の労組や団体にも広く協力を呼び掛ける。政府の定員削減政策の見直しを求める国公労連の署名とセットで進める方針だ。

     中央委では「コロナ対応だけでなく、そもそも基礎的な業務で人が足りない」「雇調金を扱う職場はこの1年、残業が続いている。職員の自己犠牲で体制を維持するのはおかしい」などの声が相次ぎ、大幅増員の必要性が訴えられた。