「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    千円目安に純ベア要求/JR連合が春闘方針/業績悪化の危機感強く

     主にJR東海、西日本、四国、九州の労組でつくるJR連合(約8万7千人)は2月2日、福岡県内で中央委員会を開き、月例賃金2%相当の賃金改善原資のうち、千円を目安に純ベアを要求する2021春闘方針を確認した。新型コロナ禍で業績が大打撃を受ける中、より底上げに重点を置く。全単組が「ONE TEAM」となる総力戦を呼び掛けている。

     昨年までの賃上げ要求基準は、3千円の純ベア統一要求を含む6千円だった。今年は新型コロナ感染拡大により業績が大幅に悪化。一時帰休をはじめ、雇用調整やグループ外への出向も始まっているという。こうした情勢や、2%程度を目指す連合方針を踏まえ、賃上げ要求は継続しつつ、要求基準は引き下げた。

     方針は(1)定期昇給の完全実施(2)労働条件改善原資として月例賃金総額2%相当分を求める(3)(産別が掲げる)必達賃金目標に未達の組合は改善原資のうち千円を目安に純ベアを要求する――とした。各社の実情に応じた対応を認めることも加えた。

     賃上げに加え、コロナ禍に伴う社会変容を見据えた「働き方改革」も始める。基本給に組み込まれない手当の割合が高い職種では、一時帰休の際の休業手当が少ないなどの問題が表面化した。手当分の原資を基本給に組み込むなどの賃金体系見直しに取り掛かる。泊り勤務など特殊勤務の縮減や、テレワークの推進も掲げた。

     荻山市朗会長は同日開いた中央委員会で、JR、グループ各社で若手や中堅の離職が増えている現状を憂慮し、産業の持続的発展と人材確保・定着のための働き方改革を求める姿勢を表明。賃上げについては、底上げに向け、全単組一丸となる「ONE TEAM」の取り組みを強調した。