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    個人情報はビジネスの対象か/国公労連が談話/「デジタル関連法案に問題あり」

     国公労連は2月9日、デジタル改革関連6法案の国会提出について談話を発表した。「必要な人員の確保など公務・公共体制の拡充なしに、デジタル化に頼るだけでは行政サービスの質は向上できない」と批判。法案には問題が多いことから、一括審議ではなく、個別法案の徹底審議が必要だと訴えている。

     

    ●監視社会の強化が狙い

     

     政府はデジタル庁の9月創設などの関連法案の目的として、デジタル化の遅れへの対処や行政サービスの向上を挙げている。一方、談話は「マイナンバーカードの普及を軸に、国家による個人情報の一括管理を強め、行政機関が保有する情報をデジタル化し、企業がそのビッグデータを利活用できるようにすること」が狙いだと警鐘を鳴らす。

     個人情報をビジネスの対象とし、監視社会を本格化させる恐れがあるとの見解だ。

     

    ●プライバシー権も侵害

     

     法案が個人情報保護制度の統一化・平準化を打ち出していることについても「実質的に規制緩和を図るものだ」として、憲法13条のプライバシー権侵害になるだけでなく、情報セキュリティー上も問題があるとした。

     国公労連は、電子化が行政の効率的運用に資する側面があることは認めつつも、「窓口では助言や相談など、対面によるきめ細かいサービスの提供が求められるケースが多い」「デジタルを使いこなせない人への対応が問題になる」と指摘。デジタル化に頼るだけでは行政の効率的な運用は実現できず、人員確保をはじめ行政運営に必要な公務・公共体制の拡充が求められると強調している。