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    さらなる少人数学級の実現を/全教大会/宮下直樹委員長を選任

     全日本教職員組合(全教)は2月13、14の両日、オンラインで大会を開き、来年度の運動方針を決めた。少人数学級の要求に前進が見られたことを評価しつつ、一層の少人数化を求める。

     労働条件では、公立学校教員への1年単位の変形労働時間制の導入阻止を最重要課題に掲げた。労働実態を踏まえた時間外手当の支払いを求める運動を広げ、長時間労働の解消を目指す。

     役員選挙では委員長に宮下直樹副委員長を新たに選任し、檀原毅也書記長が再任された。小畑雅子委員長は退任し、全労連議長に専念する。

     あいさつした小畑雅子委員長は、感染症防止の全国一斉休校によって、学校が子どもの居場所であり、発達保障の場であることが明らかになった一方、タブレットやネットを使ったICT化が進み、教育の市場化が加速しかねないと懸念を示した。

     「教職員が専門性を発揮し、子どもたちの実態に即した学校ごとの教育課程ではなく、画一的な教育になる危険性もある。憲法や国連子どもの権利条約に基づく教育を学校からどう作り出すかが問われている」と訴えた。

     5年計画で実施される小学校全学年の35人学級については、40年ぶりに改善を勝ち取ったことを評価した。「さらなる少人数化や中学高校への波及など、今後も大きな課題がある。(実現の)根底にあるのは、職場や地域を基礎にした署名運動などで培った共同の力だ。コロナ禍で全教運動の真価が最大限に発揮されたと確信を持ちたい」と強調した。

     

    ●変形労働制が最重要課題

     

     方針では教員の長時間過密労働の是正と1年単位の変形労働時間制の導入阻止を最重要課題とした。

     持ち帰り残業を含む勤務実態の適正な把握や、タイムカードの改ざんなどを強要する「時短ハラスメント」の防止など、是正に不可欠な施策も要求する。

     授業準備などを「自主的活動」とみなし、残業と認めない「給特法」の改正を強調。実際の労働に基づいた時間外勤務手当の支払いを求める運動を展開する。

     方針を提案した檀原毅也書記長は「向き合うべき課題はコロナ禍で深刻化する長時間過密労働であり、変形労働制導入の条例化が先行するのは本末転倒。導入(の可否)は職場分会、教職員との協議事項だ」と語気を強めた。

     

    ●タブレットは自腹?

     

     一斉休校によって、1人1台の端末とネットによる教育のICT化や、「GIGAスクール構想」の整備が進められている。文科省の第3次補正予算では国が1人1台の端末を整備するが、対象は小中学校のみだ。

     長野県では高校の校長に対し、端末を購入できない低所得世帯を調査するよう指示があった。併せて、月約2千円の分割払いや3万円台の端末も示し、年度内に個人で用意するよう促しているという。報告した代議員は「端末にはアプリも必要。保護者負担を一気に増やす施策でいいのか」と問いかけた。

     岡山の代議員は、「性急としか言いようがない進め方で、十分な議論がない。高校入学時の負担は7万円増の見込み。通信環境の格差などでもう一波乱あること必須だ」と指摘した。