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    学研教室の先生が組合結成/「現場の声聞き、話し合いを」

     学習塾大手「学研教室」の先生(指導者)たちがこのほど労働組合を結成し、タブレット端末やアプリを利用するICT化などの業務改革について、フランチャイズ契約を結ぶ学研エデュケーショナルに話し合いを求めている。教室指導者は個人事業主として働く。一方的な費用負担増や、現場に合わないICT機材の導入、今後の運用などについて、対等に協議・交渉できる集団的労使関係を築き、現場の声を聞くよう求めている。

     

    ●四公六民、五公五民

     

     学研教室は、小中学生の放課後自習を助ける学習塾。学研の教材を使い、自宅の6畳間で週2日から始められるといううたい文句で、高学歴の主婦などが指導している。

     事業を展開する学研エデュケーショナルは昨年、「二大改革」として、アプリや端末を活用するICT化と、プロモーション(広告宣伝)の強化を始めた。しかし、システム障害や不具合が相次ぐ中で保護者と指導者に使用料を請求する手法や、広告宣伝費など月額約1万円の負担増に不満が噴出した。東京と沖縄では署名約400筆を集約。1月には全労連・全国一般東京地方本部・学研教室支部の結成へとつながった。既に組合員は百人を超えている。

     資料によれば、教室の基本は国語と算数各週2回で、月謝が8800円。月謝の総額が22万~27万5千円の場合、そのうち40%をロイヤルティーとして会社に徴収される。最小規模だと49%にも上る。教室用の会場を借り、採点のアシスタントを頼むと手取り額はさらに圧縮される。

     組合結成に立ち上がった支部役員らは「(契約変更への同意を求められても)選択の余地がない。会社は個別に対応するので、意見を言えない人も多く、結局現場の声は反映されない。私たちはICT化に反対しているのではなく、移行への十分な時間を保障し、意見を聞くよう求めている」「未完成の機材の費用を支払わされている。現場を無視して進めるので『アベノマスク』のような不良品ができてしまう。高い年貢(ロイヤルティー)を払わされたうえに、負担を増やされるのは、私たちに辞めろと言っているのと同じ」と話す。

     学研教室支部は、現場の声を踏まえたICT運用と使用料請求の中止、広告宣伝費の内容の説明と徴収の撤回、今後の運用に関する協議などを要求している。

     

    ●現場の声集め迫る

     

     2月15日に行われた東京都労働委員会のあっせん協議で、会社側は「労働者性が明らかにならない限り協議はしない」と、交渉に応じない姿勢に終始した。一方、組合員らが実情を訴えるなどした結果、あっせん手続きは打ち切りを回避し、継続されることとなった。

      労組法では、個人事業主であっても、従属的な立場にあり、対等に交渉するために組合が必要とみなされる場合は、労働三権が保障される労働者と認められる。要件はおもに(1)企業組織に組み込まれている(2)契約内容が一方的に決められる(3)報酬が業務量や時間に応じて算出される――などだ。

      個人事業主の労働者性をめぐる争議については、音楽家や修理工、バイク便などで認められている。2019年には、公文教室の指導者でつくる労組が救済を求めた事案で、都労委は労働者性を認め、運営会社に団体交渉に誠実に応じるよう命じている。

      学研教室支部は今後、各地の先生たちの声を集めるとともに、組合員や協力者の拡大、公正取引委員会への要請など、取り組みを強める構えだ。

     

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    コメント: 1
    • #1

      森下直樹 (木曜日, 04 3月 2021 22:49)

      この記事を読んでびっくり。「40%をロイヤルティーとして会社に徴収される。最小規模だと49%にも上る」。学研の看板を貸してやるから、その分、あがりを寄こせ、ということですね。こんなアコギな商売やってるようだと、学研も長くないでしょう。学研エデュケーショナルの社員がサラ金みたいなことをやっていることがよく分かりました。