「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    ベア非公開が増加/自動車大手が春闘要求/従来以上の分散傾向

     自動車総連のトヨタ、日産など大手組合は2月17日、春闘要求を会社に提出した。自動車総連は3年連続で産別のベア要求を設定せず「企業連・単組自決」としており、コロナ禍と産業の変革期を反映して要求は従来以上に分散した。

     トヨタは非正規雇用を含む全組合員平均で月9200円を要求した。3月期の営業利益が上方修正で2兆円と予測されながら、要求は「自社型春闘」で昨年より900円低く、ベアの有無も非公開だ。

      トヨタ労使は18春闘の日本語回答でベアの有無を不明とし、19年には総額要求でベア非公開とした。20年はベアゼロ回答で、今春闘はベアの有無さえ非公開とし、賃上げの取り組みに影を落とすと、連合内からも懸念されている。

      日産は5年ぶりに要求を引き下げ、昨年より2千円低い7千円を設定。昨年まで公表していた定昇(6千円)とベアの内訳を初めて非公開とした。

      このほか、非正規・シニア組合員を含めて賃金要求したのは、SUBARU、いすゞ、日野、ヤマハなど9組合。他方、ベア見送りは8年ぶりの本田、三菱自工、マツダなどである。

      ベアなど要求内容の非公開は19春闘ではトヨタなど2組合だったが、20春闘では4組合に増え、21春闘では6組合に拡大している。

      賃金の絶対水準を示す個別賃金の引き上げ要求額も分散。35歳相当の中堅技能職では、トヨタは39万1110円で昨年より3670円高いが、ベアとの関係は不明だ。

      高倉明会長は「上げ幅でなく、個別賃金で水準重視の春闘」を強調。「個別賃金水準の引き上げ幅(ベア、定昇)」についての質問には明確な答弁を避けた。水準闘争への産別の対応が注目される。(鹿田勝一)