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    過酷な夜勤改善へ人員増を/日本医労連/介護施設の実態踏まえ要求

     ヘトヘトになるまで働く2交代16時間勤務、仮眠が取れない1人夜勤、そして自立した生活もおぼつかない低賃金――。介護施設をめぐる労働条件の低さをなんとかしようと、日本医労連が制度の改善を求めている。特に、職員の配置基準と介護事業の財源について抜本的な見直しをできるかどうかが課題だ。

     

    ●広がる2交代夜勤

     

     医労連が2月12日に発表した介護施設夜勤実態調査結果によると、139施設のうち、114施設で2交代夜勤が行われており、うち84%が16時間以上の長時間勤務になっていた。

     夜勤体制については、グループホームや小規模多機能型居宅介護施設など、比較的小さな規模の事業所では全て1人夜勤。規模の大きな特別養護老人ホーム・短期入所施設でも1人夜勤が4割を超えていた。

     夜勤回数には法的な上限規制が設けられていない。仮に看護師確保指針(月8回・2交代夜勤なら4回)に照らすと、指針を超える2交代夜勤の職員が約38%いた。

     調査は2013年から毎年行われており、今回で8回目。この間、調査結果に大きな変化はなく、働き続ける上で厳しい状態が続いている。今の人員体制で大震災が発生したら対応できるのか、新型コロナウイルス感染が広がる中でクラスターを防止できるのかなど、職員・利用者の双方にとって不安な状態だという。

     

    ●夜勤は複数体制で

     

     こうした状況を打開するため、医労連は厚生労働省に要請を重ねてきた。今回も3月5日に行う予定だ。

     要請では職員の配置基準について、現行の「利用者3人に職員1人」を「利用者2人に職員1人」に引き上げるよう要求。1人夜勤をなくして複数体制を原則とすることも求める。法的規制のない夜勤回数に関しては、看護師指針を準用するべきだと訴える。

     必要な人員を確保するための人件費は、基本報酬を引き上げて確保し、処遇改善を行う財源は全て国費でまかなうよう主張。介護保険料と利用者負担の軽減を図る一方で、サービスを拡充するには、介護保険財政に対する国の負担割合を大幅に引き上げることが欠かせないという。

     

    ●世論づくりが課題

     

     米沢哲書記次長は「1人夜勤や長時間労働を是正するには、人員を増やす必要がある。そのためには職員の配置基準見直しと報酬アップが不可欠だ。以前に、外食チェーン店のワンオペ(1人夜勤)が危険だと社会問題になった。介護施設のワンオペの実態についても、もっと世の中に訴え、『人員を増やせ』の大きな世論をつくりたい」と語っている。