自治労連と国公労連、全労働は3月1日、コロナ危機の下で生活に困窮する人たちを支える行政施策などについて、共同で提言案を発表した。生活保護と雇用保険の制度拡充を中心にまとめた。コロナ禍で暮らしを支える仕組みの弱さが一層明らかになったとして、あらためて公務の役割発揮が必要と強調している。
新型コロナウイルス感染が広がる中、自公政権は1人当たり10万円を配る特定定額給付金をはじめ、住居確保給付金や緊急小口資金などの要件緩和、雇用調整助成金の特例措置などを行ってきた。しかし、提言案は失業や補償なき休業、住居喪失などで生活に困窮する人や自殺者が増加していると指摘した。
これまでの対策の多くが時限措置や貸し付けで、実情に見合ったものになっていないためだ。それさえ政府は段階的に打ち切る方向を示している。提言案は、給付金などの拡充と一層の要件緩和が必要だと訴える(表)。
●安全網の再構築を
その上で、住居と生活保護制度、雇用保険制度などのセーフティーネットを張り直すべきと主張。生活保護については(1)国民の権利であること(2)親族への扶養照会が義務ではないこと――を政府自ら周知・徹底の努力をするよう要求。
雇用保険制度に関しては、失業時の生活を保障できていないことから(1)受給資格要件の緩和(2)所定給付日数の拡充(3)給付制限の廃止(4)基本手当日額の引き上げ――などを求めている。
●行政の役割発揮が必要
自治労連の長坂圭造副委員長は同日の会見で「憲法25条(生活保障)と27条(勤労権)を保障するのが国と自治体の責務だ。公務公共は今こそ本来の役割を発揮しなければならない」と訴えた。生活保護制度については「負のイメージがつくられており、申請を嫌がる人が少なくない。生活保護を避けて、不十分な小口資金や住宅確保給付金でしのいできた人が多い。生活に困った人が安心して利用できる仕組みにするべきだ」と訴えた。
全労働の津川剛書記長は「コロナ禍によって、幅広い産業で求人が減っている。90日間の失業給付期間では、なかなか再就職が決まらず、現場からは『悩ましい』との声も聞こえてくる」と話した。
〈写真〉会見に臨む3団体の代表(3月1日、都内)
コメントをお書きください