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    食事配達フードラと協約締結/スウェーデン運輸労組/従業員の配達員に処遇改善

     スウェーデン運輸労組と食事配達のフードラが2月25日、1年の交渉を経て労働協約を結んだ。バイクや自転車を使う配達員2千人が対象。同労組が持つ運送業の全国協約を基礎とした内容で、年金、有給休暇や傷病保険の面で、トラック運転手や倉庫労働者と同じ処遇となる。

     賃金は、1時間100クローネ(1260円)が保障される(表を参照)。平日の最低時給70クローネ(880円)をベースに、配達回数(1回20クローネ)がゼロか1回の場合でも100クローネを支払うという協約だ。同社の場合、配達員はすでに従業員扱い。スウェーデンで、食事配達のギグ会社として初めて労働協約に調印した。

     課題も残した。フードラは極寒の地域では下請け会社を通じて自動車を使って料理を運んでおり、その人員は全体の3割を占める。だが、こうした運転手は今回、協約の適用を受けず、未組織のままだ。会社がかたくなに拒んだためで、継続協議となった。

     同社が労働協約を結ぶのは、ノルウェーに次いで2カ国目。オーストラリア、カナダ、イタリアなどでは、労働組合の取り組みを嫌って事業を閉鎖し、批判を受けた。

     独ミュンヘンで2014年に起業したフードラだが、その後同じドイツのデリバリーヒーローの傘下に収まり、営業は現在スウェーデン、ノルウェー、フィンランドのみだ。