「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    「労組なら守ってくれたはず」/英王室離脱のメーガン妃/話題のインタビューでの発言

     「労働組合なら、私を守ってくれたでしょう」。ハリー王子とともに英王室を離脱した後、初めてとなるインタビューで、こう語ったのはメーガン妃だ。人種差別を受け、自殺を考えるほど思い詰めた時、バッキンガム宮殿の人事部を頼ったが、丁重に断られたという。

     女優時代は、米俳優組合(SAG‐AFTRA)の組合員だった。労働組合はいざという時に頼りになる存在だというこの発言を、全米サービス労組や教員組合はすかさず取り上げた。

     かつて組合とどう関わったのかは詳らかにしなかったが、映画業界で駆け出しのころ、肌の色が「中途半端」と見られ、仕事が少なく苦労したそうだ。10代から活発なフェミニストだった。

     一方、インタビューそのものが「よくできたドラマのようだ」と見る向きもある。一挙一動を世間からチェックされる超セレブだが、評判はずっといまひとつで、義姉のキャサリン妃の方が「慎ましい」と見られてきた。彼女を「うそつきの浪費家だ」と感じる人も少なくないという。それでも米俳優組合はメーガン妃の発言に「今でも仲間だよ」とエールを送った。労働組合とは、そういうところなのだ。

     実話に基づく名画「ノーマ・レイ」では、米国南部の紡績工場に勤める主人公が組合づくりに参加して、人間として成長していく姿が描かれている。映画の冒頭では、2児を養うシングルマザーとして将来に希望が持てない身持ちの悪い女性として登場するが、闘いの中で変わっていく。

     「一人がみんなのために、みんなが一人のために」という原則の下、誰もが参加できるこの運動には、たくさんのメーガンやノーマがいるのだ。(労働ジャーナリスト 丘野進)