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    昨年比微増のベア1254円/金属労協3月末集計/中小が大手回答を上回る

     金属労協は4月2日、3月末段階の回答状況を公表した。賃金改善(ベア)を要求・獲得した組合数は昨年同時期と比べて減少しているが、改善分の平均は昨年同期を若干上回る1254円。特に300人未満の中小は1400円と健闘ぶりが目を引く。

     高倉明議長は約半数が回答を引き出した現段階の評価について「前年とほぼ同様の進捗(しんちょく)状況。人への投資を求めた成果だ。小規模の組合ほど賃上げ額が高く、中小が大手を上回る傾向が定着した」と会見で語った。

     

    ●賃上げの流れ継続へ

     

     賃金改善を要求したのは1815組合で、昨年同期より335組合少ない。賃金改善分を獲得した組合も同227組合減の498組合。改善額を引き出した組合の平均は1254円で、同微増となった。

     千人以上の76組合が923円。300人未満の中小282組合は1400円と大手を上回った。

     この傾向は自動車総連とJAMに顕著に表れている。自動車総連では、千人以上24組合の改善分の平均は690円なのに対し、300人未満の中小103組合は1607円。JAMは千人以上20組合が957円で、中小143組合は1392円だった。

     電機連合は、回答を引き出した59組合のうち48組合が賃金改善を獲得。大手組合による産別統一闘争の回答を中堅・中小に波及させる方式で、大手が1063円、中堅889円、中小856円と、「千円」を軸に推移している。

     新型コロナ禍で企業業績は二極化し、春闘の結果も明暗が分かれる。一方、賃金改善の平均は昨年水準を若干上回る。会見では「人への投資の流れを継続できている」(高倉議長)と手応えを語った。