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    「コロナ禍の前に戻す」/中央最賃審が目安改定開始/地域間格差の縮小が課題

     今年度の最低賃金改定の目安を決める中央最低賃金審議会が6月22日、始まった。引き上げ目安を示さなかった昨年から一転、今年は「コロナ禍の前に基調を戻すことに政府の主眼が置かれている」と厚生労働省は説明する。今年度の骨太方針に明記された「地域間格差への配慮」がどのように具体化されるかが注目される。

     諮問では骨太方針と成長戦略実行計画に「配意」した審議を要請。三原じゅん子厚労副大臣は「ポストコロナを見据え、経済の好循環を実現するために最賃を含む賃上げを継続することが不可欠。コロナ禍でも最賃を引き上げた諸外国を参考に、コロナ禍の前の実績を踏まえ、地域間格差に配慮し『より早期に全国加重平均千円』を目指す」と骨太方針の内容を示し、これを踏まえた議論を求めた。

     労働者委員の冨田珠代連合総合局長は「最賃近傍で働く労働者の困窮は深刻さを増している。今求められるのはセーフティーネットの促進。最賃改定がメッセージとなる」と発言。使用者側の発言はなかったが、中小企業団体の主張は「現行水準維持」だ。

     昨年度の引き上げはわずか0・1%。厚労省によると、政府の主眼は「コロナ禍の前に基調を戻すこと」にあるという。感染拡大前の2019年度の引き上げ幅は3%強だった。

     政府は、賃金を底上げさせた中小企業への助成金の拡充を決定。下請け取引適正化も掲げる。現行目安制度の下で地域間格差をいかに縮めるかが注目される。

     

    〈写真〉藤村博之中央最賃審議会会長に田村厚労相の諮問を手渡す三原副大臣(6月22日、厚労省)