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    〈ハラスメント対策関連法施行1年〉「取り組みは不十分」/連合が実態調査/法律の措置義務、進まず

     パワハラ防止対策などを企業に義務付けたハラスメント対策関連法の施行1年を受け、連合は6月25日、インターネットを通じて実施した、職場の実態調査結果を発表した。同法が事業主に義務付ける防止方針の明確化や周知・啓発、相談窓口の設置などの措置が、あまり進んでいないことが浮き彫りとなった。

     6月、調査会社を通じ、60歳未満の働く成人男女千人の有効サンプルを集計した。

     調査は、ハラスメント対策関連法が事業主に義務付ける措置が、自分の職場で行われているかを聞いた。

     事業主には「ハラスメントを行ってはならない」とする方針の明確化と周知・啓発を義務付けている。これについて聞いたところ、「禁止の方針がある」はパワハラが15・8%、セクハラが13・4%と低く、「特になし」がそれぞれ最多の40・0%と41・4%に上った。「分からない」もそれぞれ3割程度ある。

     相談窓口が設置されたという回答も、パワハラ、セクハラでともに2割前後にとどまる。「特になし」は4割強、「分からない」も3割前後あった。

     「ハラスメントが起きた際の対応」も鈍い。「特になし」は総じて4割弱で、「分からない」が4割前後に上るなど、法律の内容が浸透していない実情が浮かんだ。

     この設問への回答で、認知度が若干高いパワハラを見ても、「迅速かつ正確な事実確認」が行われているという回答は11・5%で、「ハラスメントを行った者への適正な措置」は6・1%、「再発防止に向けた措置」も4・9%に過ぎない(複数回答)。(グラフ)

     法律の義務が果たされていない現状に、調査は「取り組みは極めて不十分」と指摘している。

     

    ●法律「知らない」約9割

     

     法律の内容が知られていない現状もある。ハラスメント対策関連法の内容を「知らない」と答えた割合は87・6%。あらゆるハラスメントについて禁止を定めたILO190号条約(2019年採択)は92・0%が「知らない」という結果だった。