「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    傍聴記/禁止条約発効に喜びと決意/政策転換促す運動を

     今年の原水爆禁止世界大会や、核兵器廃絶を求める集会は、核兵器禁止条約が発効したことへの喜びと今後の運動の決意であふれていた。世論調査でも7割が禁止条約に「参加すべき」と答える中、菅義偉首相は条約への参加に背を向け続けている。政府に政策転換を求める運動と環境づくりが必要だろう。

     今年の原水禁大会は、被爆者が核兵器禁止条約の発効を「生きていて良かった」と喜び、長年核兵器廃絶を求めて運動してきた人たちは「志半ばで亡くなった諸先輩方の運動の成果」と先人たちに思いをはせた。核兵器廃絶まで運動を続ける決意がみなぎる内容だった。

     世論調査では、禁止条約への日本の参加を求める声が多数に及ぶ中で、菅首相は広島、長崎での平和式典で禁止条約に一言も触れなかった。今年は条約発効により「核兵器は違法」となった。唯一の戦争被爆国として、せめて態度表明するのが国の代表としての責務だろう。

     英国の核弾頭数増強の表明をはじめ、核保有国では高性能の核兵器に置き換える作業プログラムが進んでいる。核兵器をめぐる状況は決して楽観できる状況ではない。大会や一連の関連行事では「すべての人が核兵器の問題の当事者だ」と語られた。

     今秋には総選挙がある。ICAN国際運営委員の川崎哲さんは、自分の住む地域の国会議員や候補者に核兵器禁止条約についての態度を問いかける運動を提唱している。こうした取り組みを全国で積み重ねることで、条約批准の機運を醸成していく必要があるのではないだろうか。