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    一方的な単価据え置きは違法/最賃上昇で公取委/労組の積極的活用が重要

     最低賃金引き上げに伴う人件費上昇分の下請け価格への上乗せを、発注元が一方的に拒否することは下請け法違反――。公正取引委員会は9月8日、新たな最賃の発効を前に、下請け法の周知と、中小企業への不当なしわ寄せ防止のための実行計画をまとめた。労組の活用が求められる。

     公取委の実行計画では、政府が「価格交渉促進月間」に指定した9月以降、下請け事業者を対象にした相談窓口の設置や、定期調査での「最賃引き上げを含む労務費や原材料上昇の影響に関する追加調査」、買いたたきの多い業種への調査拡大などを順次行い、法違反に「厳正に対処していく」とした。

     中小企業庁とともに毎年11月に設定している「下請け取引適正化月間」で、事業者団体との連携を強めることも盛り込んだ。

     下請け法は、製造や修理、ソフトウェアの委託、運送などの役務提供を行う下請け事業者を保護する仕組み。法違反の行為類型には、著しく低い代金を強いる「買いたたき」や、納品の受領拒否、支払い遅延などがある。

     下請け事業者が、最賃引き上げによる人件費上昇分を価格に反映するよう求めているのに、発注元が一方的に単価を据え置いて発注することは「買いたたきに該当するおそれがある」と、公取委は疑義応答集などで明示している。

     この問題で公取委と長年交渉を行ってきた中島康浩労働総研理事は、今回の実行計画について「これまでにない積極的な姿勢が読み取れる」と指摘する。実効性を確保するためにも、業界団体への要請や、公取委へのリアルな情報の提供、連携が必要と述べるとともに、単組には経営者に国の実行計画を知らせ、発注元と交渉するよう求めていくことが重要と話している。