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    組合役員経験者が3割/自治労がLGBT調査/「全職員への研修が必要」

     自治労は9月15日、組合員を対象にした「LGBTQ+」(性的少数者)に関する調査結果を発表した。性的少数者の割合は全体の6・6%に及び、そのうち3割以上が組合役員経験者であることが分かった。一方で、来庁する性的少数者に対して適切に対応できるか「分からない」と答えた人は6割を超える。総合組織局の林鉄兵強化拡大局長は「全職員への研修が必要」と強調した。

     調査は4月から2カ月間かけて実施した。組合員にインターネットで直接答えてもらい、約2万人から回答を得た。回収する際に性的指向や性自認などの情報がもれないよう、あえてインターネットによる回答方式とした。

     性的指向や性自認などについて聞いたところ、性的少数者に該当する人は6・6%(1252件)だった。そのうち、組合役員(単組の支部・分会執行委員も含む)を経験した人は33・5%に上る。現在も性的少数者が県本部役員(7・9%)、単組役員(三役3・8%、執行委員4・4%)、支部・分会の役員(三役4・1%、執行委員6・0%)を担っていることも分かった。(グラフ)

     性的少数者が働きやすい職場をつくることが組合自身の課題でもあることを示す結果となった。

     調査を取りまとめた自治研作業委員会の神谷悠一座長(LGBT法連合会事務局長)は、「注目すべきは各層の組合役員に当事者がすでに就いていたという結果だ。自治労が主体的に性的少数者についての政策に取り組む強い動機になるのではないか」と指摘する。

     

    ●現場では戸惑いも

     

     自治体職員は多くの住民に接する。現在、働いている職場で、来庁する性的少数者に適切に対応できるかを尋ねたところ、「分からない」と答えた人が6割を超えた。

     他の設問への回答では、性的少数者に関する研修の実施は15・3%にとどまっている。

     林局長は、自由記述欄に寄せられた「LGBTの人の更衣室の手配など対応に困った」「どのような言葉が相手を傷つけてしまうのか分からない」などの声を紹介し、現場での対応に戸惑いがあることが調査で示されたと説明。「全職員への全庁的な研修が必要だ」と語った。

     

    〈写真〉神谷座長は「私の知る限り、産別組織の中で初めての調査ではないか」と述べた(中央、9月15日、都内)

    〈グラフ〉組合役員の経験(%)